未来の美術館構想講座 – 2025年度

芸術と障害について、障害のある人やアーティストを含む参加者が「そもそも」のところから考え、語り合う場として始まった本講座も、4年目を迎えました。「もぞもぞする現場」では、 meet up/Meeting で対話を重ねながら、参加者が考案したさまざまな鑑賞方法を実際の現場で試み、「未来の美術館のあり方」を考え、実践してきました。

本年度は、こうした多様な鑑賞方法や美術館での過ごし方が、障害のある人を含むさまざまな人にとって魅力あるプログラムとなることを目指し、全6回のミーティングを通してさらにアイデアを深めてゆきました。その成果は、2026年1月に開催された「もぞもぞする展覧会 しつづける あいだに」の会場にて公開されました。

*「もぞもぞ」…ミミズが土中で活動しながらその土壌を醸している様子。または、“障害”と“芸術”の両領域間を行き来しながら活動する人たちが何かモヤモヤする気持ちを抱えていて、居心地のよい姿勢を探っているような動作。

プログラムちらし

プログラム名
もぞもぞする現場4 芸術と障害にかかわるひとたちの、アセンブリー
言い出しっぺ
佐藤知久(言葉を見つける人)、小山田徹(綾なす人)、今村遼佑(想う人)、阪本結(手を伸ばす人)、舩戸彩子(探る人 ※お休み中)、中川真(耕す人)、内山幸子(醸す人)
参加費
無料
共催
京都市立芸術大学
制作
一般社団法人HAPS
協力
京都市
告知サイト
https://haps-kyoto.com/mozomozo_2025/

「もぞもぞする現場からのレポート 2025」

発行日
2026年3月28日
発行元
一般社団法人HAPS
ドローイング
小山田徹
執筆
奥村一郎、高内洋子、中川真、もぞもぞさん
撮影
中谷利明(P. 2-7, 22-23, 26-32, 33中右と下、34上段、35)、沢田朔[一般社団法人HAPS](P. 8, 10, 11, 12上、14, 34下)、NPO法人暖(P. 13)
編集
内山幸子、奥村一郎
編集協力
有佐祐樹、吉田守伸
デザイン
有佐祐樹
印刷
株式会社グラフィック
頁数
43頁

メッセージ

未来の美術館の姿を手繰り寄せたい!その実践的な試みを行います。発端は「美術館は誰のものなのか」という問いです。美術館関係者?行政?アーティスト?美術ファン?いや、美術館にはもっと可能性があるはず。

今の美術館は、例えば、障害のある人、日本語を母語としない人、閉じこもりがちな人たちは来にくい場所です。それを解消するためにアクセシビリティ(行きやすさ)を改善する試みが広がっていますが、「もぞもぞする現場」では、それのみならず、美術館での「鑑賞」や「ふるまいかた」を変化させ、拡張したいと考えています。例えば、寝転がって作品を見ると、全く違った印象をもちます。そんなことできっこないと考えず、今冬に奥村一郎さんのキュレーションで開催する「もぞもぞする展覧会」で、具体的に様々な試みに挑戦したいと思います。

そのために、障害のある人を含め、いろいろな属性のある人たちと協働でミーティングを重ね、美術館の可能性を追究します。そんな美術館は、従来の美術ファンにとっても新たな発見と楽しみの場所となるでしょう。市民である参加者の側から美術館に大胆な提案をする、それがこのプロジェクトの主旨です。

Meeting ①
これまでの活動をふりかえりつつ、 2025年度の目標を共有する

日時
2025年8月30日(土) 13:30~16:30
場所
京都市立芸術大学カフェ・コモンズ(京都市下京区下之町57-1 C棟3階)
ゲスト
奥村一郎(和歌山県立近代美術館学芸員/「もぞもぞする展覧会」ゲストキュレーター)

Meeting ②
昨年度に実践した様々な鑑賞方法を、 いろんな人にとって面白いプログラムにする

日時
2025年10月5日(日) 14:00~16:00
場所
京都市立芸術大学 カフェ・コモンズ

Meeting ③
具体例をイメージしながら、 いろんな人にとっての美術館の過ごし方を考える

日時
2025年11月15日(土) 14:00~16:00
場所
アトリエみつしま Sawa-Tadori(京都市北区紫野下門前町44)

Meeting ④
「もぞもぞする展覧会」の展覧会場で、 実際になにをどうするかをつめていく

日時
2025年12月20日(土) 13:30~16:30
場所
アトリエみつしま Sawa-Tadori

Meeting ⑤
Meeting①~④で考えたアイデアを、「もぞもぞする展覧会」の展覧会場で、実際にやってみる

日時
2026年1月11日(日)・17日(土)各日12:00~17:00 ※いずれか1日に参加する。
場所
アトリエみつしま Sawa-Tadori

Meeting ⑥
ふりかえりと、次年度に向けての話し合い

日時
2026年2月7日(土) 14:00~16:00
場所
京都市立芸術大学 カフェ・コモンズ

もぞもぞする展覧会 しつづける あいだに

展覧会名
もぞもぞする展覧会 しつづける あいだに
会期
2026年1月6日(火)~1月18日(日)11:00~18:00 会期中無休 ※最終日のみ16:00閉館
会場
アトリエみつしま Sawa-Tadori(京都市北区紫野下門前町44)
料金
無料
出展作家
荒井陸、中村真由美、福岡左知子、舟木花、宿利真希、山野将志(以上、たんぽぽの家アートセンターHANA所属アーティスト)
光島貴之
ゲストキュレーター
奥村一郎
鑑賞ナビゲーター
もぞもぞさん(青木香里奈、生駒美加、奥西果奈、関本彩子、高内洋子、土居久礼、藤田梨央、四元秀和、増田和子、三島亜紀子 * 50音順)
展覧会サイト
https://haps-kyoto.com/mozomozo_2025exhibition/

会場での配布資料 » もぞもぞする展覧会handout.pdf

※ 会場での配布資料の、音声読み上げ用テキストデータがこちらのリンクからご利用いただけます。

「もぞもぞする展覧会 しつづける あいだに」

寝ころがったり、触れたり、踊ったり、着たり、話したり、つくったり、休んだり・・・

本展は、福祉施設が取り組むコミュニティ・アートセンター〈たんぽぽの家アートセンターHANA〉の所属作家と、本展の会場〈アトリエみつしま Sawa-Tadori〉のオーナーでもある美術家の光島貴之さんの作品を展示し、それに対して「触れる」「踊る」「寝ころぶ」「話し合う」「休む」「着る」「音を出す」などといった多様な鑑賞アプローチを体現することを試みます。わたしたちは、鑑賞者という立場から、「美術館とはなんだろう」という考察から始まり、「アートとの接し方を変えるには?」「美術館の新しい過ごし方は?」などといった問いへと観点を広げながら、この4年間模索を続けて来ました。それは美術館をわたしたちのものにするという運動でもあり、その一つの提案としてこの展覧会があります。

もぞもぞ? わたしたちの活動のシンボルである「ミミズの糞塚」。 ミミズたちはわたしたちの見えないところでもぞもぞと動きながら微生物と協働して豊かな土壌をつくってくれています。直線的ではない動き、一つではないアクセス。わたしたちはそれに学びながら、豊かな文化の土壌を耕してゆきたいと思います。

本展のゲストキュレーターである奥村一郎さんは、美術作品と同時にいわゆる「美術」ではないもの、例えば生活道具などを展示したり、移民と美術をテーマにするなど、さまざまな領域のあいだを探るような実験的な展覧会を手掛けてきました。奥村さんには、HANAのアーティストと光島さんの作品群から展示作品を選び、「もぞもぞ」の試行を踏まえ、協働した上でのキュレーションを依頼しました。果たしてどんなリアクションがくるのか?キュレーターと、市民参加者で構成された「もぞもぞ」チーム(もぞもぞさん)とのあいだの真摯な対峙から生まれる未来の「美術館」を模索する試みに、ぜひご参加ください。障害のある人、ない人、全ての人々にとってひらかれた展覧会になることをめざしています。トーク、ワークショップ、もぞもぞさん企画の多彩なプログラムとともに、一緒に「もぞもぞ」してみませんか。

未来の美術館構想講座事業ディレクター/もぞもぞさん 中川真

イラスト:青木香里奈(もぞもぞさん)

キュレーターズ・ノート

 「もぞもぞする」ということば、そしてプロジェクトをあらわす「ミミズの糞塚」のイメージをとても気に入っています。ミミズがもぞもぞと地中を動きながら土壌を耕すように、障害と芸術のあいだをめぐってさまざまな道筋を辿りながら「もぞもぞする」プロジェクトに、今回私も関わることになり、一緒にもぞもぞするなかで生まれた糞塚のひとつが、この展覧会です。

 「芸術と障害にかかわるひとたちの、アセンブリー」を通して、市民参加メンバーを含むもぞもぞさんたちは、これまでにアクセシビリティの問題、鑑賞の方法などについてのさまざまな試行があり、展覧会はこれらを含めた実践の場ともなります。

 なかでも「寝ころがったり、触れたり、踊ったり、着たり、話したり、つくったり、休んだり・・・」といったもぞもぞさんたちの作品への多様な鑑賞アプローチに対して、どのように応えるかは、キュレーションの課題のひとつでした。展覧会では、福祉施設が取り組むコミュニティ・アートセンター〈たんぽぽの家アートセンターHANA〉の所属作家と、本展の会場〈アトリエみつしま Sawa-Tadori〉のオーナーでもある美術家の光島貴之さんの作品から展示構成することになり、準備を進める中であらためて気がついたのは、身体の感覚を拡張するような表現の多様さと、制作における協働のあり方についてでした。視覚以外の感覚を表現の頼りとする全盲の光島さんの作品はもちろんですが、たんぽぽの家でも鑑賞する側の感覚を開いてくれる作品に多く出会い、もぞもぞ的鑑賞としても、いやそうでなくとも魅力的な作品選定となったと思いますがどうでしょうか。

 また障害のある方の制作における協働は、近代的な自我に支えられた美術家という存在が創作する作品だけが芸術かという問いや、コレクティブな制作の方法についても参照できるものであるように思います。ともあれ私にとって障害のある方の作品のキュレーションは初めての機会でもあり、障害特性と表現との関係など自分のなかではいまだに解決し得ないことも多々あります。しかし、ここに作品はまさに在るのであって、まず向かい合うことが大切なことであるとも考えています。

 自身も含めて、障害と芸術のあいだを、関わるさまざまな人やことのあいだをもぞもぞしつづけるなかで、あちこちに「ミミズの糞塚」ができるとよいなという思いを込めて、タイトルは「しつづける あいだに」としました。

本展キュレーター 奥村一郎(和歌山県立近代美術館学芸員)


イベント

※ いずれも参加無料

ヘルパーさんいらっしゃい

日時:2026年1月6日(火)・7日(水)・8日(木)各日13:00~15:00頃
「美術館へ行くこと」について、障害のある方の支援に関わる方々と語らう時間です。お気軽にお立ち寄りください。

●予約不要。時間内の出入り自由。

ギャラリートークともぞもぞ対話

日時:2026年1月10日(土)13:00~16:00

13:00~13:40 ギャラリートーク#1
対話:吉永朋希(たんぽぽの家アートセンターHANAアートディレクター)、奥村一郎(本展キュレーター)

13:50~14:30 ギャラリートーク#2
対話:光島貴之(出展作家)、奥村一郎

14:40~15:10 もぞもぞ対話
対話:吉永朋希、光島貴之、奥村一郎

15:10~16:00
参加者全員で、もぞもぞ対話

●予約不要(定員20名程度)。時間内の出入り自由。
●文字による情報保障(UDトーク)を予定しています。

もぞもぞさんスペシャル

日時:2026年1月11日(日)・17日(土)各日12:00~17:00
ナビゲーター:もぞもぞさん

寝ころがったり、触れたり、踊ったり、着たり、話したり、筆談したり、つくったり、休んだり・・・もぞもぞさんのナビゲートで、さまざまな方法で鑑賞したり、展覧会場での過ごし方を味わってみませんか?ご来場時、受付にてお気軽に「もぞもぞさん希望」とお伝えください。

●予約不要。時間内の出入り自由。

ワークショップ with 光島貴之

日時:2026年1月11日(日)13:00~15:00
講師:光島貴之(出展作家、アトリエみつしまSawa-Tadoriオーナー)
協力:高内洋子(アトリエみつしま)

光島貴之さんの作品制作を体験するワークショップ。製図用のラインテープやカラフルなカッティングシート(厚みのあるビニルシート)を使って、ガラス瓶に「さわる絵画」を施します。お好きな大きさ・色・かたちのガラス瓶をご持参ください。(先着4名)

ワークショップ with 宿利真希

日時:2026年1月12日(月・祝)①13:00~ ②15:00~
講師:宿利真希(出展作家、たんぽぽの家アートセンターHANA所属アーティスト)

宿利真希さんの作品制作を体験するワークショップ。宿利さんと一緒に、ダンボールで文字やロゴマークなどを切り抜いてつくります。(各回先着4名)


プロフィール

出展作家

荒井陸 あらい・りく

1995年生まれ。2014年よりたんぽぽの家アートセンターHANA所属アーティスト。「描いている今が楽しくて仕方がない」まわりが驚くほど、のめり込んで制作をしている。決まってみられる「掃除機」は自身の一番お気に入り。長い物と機械音を好む彼にとって、これ以上ない最高のモチーフだ。愛用の画材「マッジクペン」で画面全てを埋め尽くし、インクがつきるまで描き味を噛み締める。好きなモノを好きなように好きな方法で描き出す。そこから生まれた表現は独創的で刺激的だ。近年の主な展覧会に「扉をあける」(2023年、大分県立美術館/大分)など。

中村真由美 なかむら・まゆみ

1985年生まれ。2004年よりたんぽぽの家アートセンターHANA所属アーティスト。カラフルでポップなイラストと、細部にまで描写された絵画たち。そのあまりにも違う作風の振り幅は、別人が描いたような印象さえ受けてしまう。この作風の違いはモチーフの有無によって生まれており、自由に描けばイラストに、モチーフを見て描けば緻密画となって画面に表れる。その他イラストを立体にした張り子を大量に作ったり、毎日欠かさず絵日記を書いたりなど、多岐にわたる創作活動を展開している。近年の主な展覧会に「扉をあける」(2023年、大分県立美術館/大分)など。

福岡左知子 ふくおか・さちこ

1963年生まれ。1983年よりたんぽぽの家アートセンターHANA所属アーティスト。織りの作品「miamoo.(ミィアムゥ)」は、大切な人の名前にちなんで名付けられた。その織りたちは、柔らかで温かみのある雰囲気をまとい、見た人を和ませる不思議な魅力を発している。「元気かぁ?」といろんな人に声をかけては笑顔で周りを気遣い「見て、ええやろ、これ」と自画自賛しながら、作品を生み出している。近年の主な展覧会に「扉をあける」(2023年、大分県立美術館/大分)、「いきいきと解き放つ命の輝き」(2021年、徳島県立近代美術館/徳島)など。

舟木花 ふなき・はな

1998年生まれ。2017年よりたんぽぽの家アートセンターHANA所属アーティスト。自由な発想と豊かな感性で、様々な素材を使いながら不思議な「アイテム」を作り出していく。ひたすらにシールとテープを張り合わせた箱、絵の具のボトルを何本も使って塗りたくったタペストリー、自身の名前を記し続けた画用紙、、、。アイテムができるとそれを身に纏ったり、中をくぐって遊んだりもする。自身の閃きに身を委ることを楽しむその姿は、人が持つ根源的な創造する喜びを感じさせる。近年の主な展覧会に「関係するアート展 vol.03」(2023年、佐賀県立美術館/佐賀)など。

宿利真希 やどり・まき

1989年生まれ。2008年よりたんぽぽの家アートセンターHANA所属アーティスト。段ボールで作られた数字や漢字にアルファベット… 。これらの作品は彼女の指示でスタッフが作っている。制作中にも細かく指示を出し、出来上がったとしてもイメージと合わなければその場で捨てられることも少なくない。そんなプロセスをへて残った作品だけが、彼女の手によって仕上げの着彩を施され完成する。そしてスタッフのお絵描きスキルも、宿利との制作を経て日々上達している。近年の主なワークショップ、展示活動に「オープンアトリエ inなら歴史芸術文化村」(2024年、なら歴史芸術文化村)など。

山野将志  やまの・まさし

1977年生まれ。1995年よりたんぽぽの家アートセンターHANA所属アーティスト。植物や動物・昆虫などの生命と対話するように描く。森や空などの自然も全身で感じ取り、力強い線と豊かな色彩を重ねていく。お出かけすること、人とおしゃべりすること、ご飯を食べに行くこと…。すべてが自分を表現する大切なものとしてつながっている。文化施設や公園、企業など、パブリックアートとして各地に作品がおさめられている。近年の主な展覧会に「作ると描く」(2024年、京つけもの西利 本店2F/京都)、「扉をあける」(2023年、大分県立美術館/大分)、「御室芸術祭」(2023年、世界遺産仁和寺/京都)など。

* 以上のプロフィールは、たんぽぽの家アートセンターHANAより提供

光島貴之 みつしま・たかゆき

1954年生まれ。美術家・鍼灸師、アトリエみつしま代表。10歳頃に失明。ラインテープやカッティングシートによる「さわる絵画」、手ざわりに特徴のある素材を用いた「触覚コラージュ」のほか、視覚以外の感覚で捉えた街の姿を釘の高低差により再現するなど、新たな表現手法を探求している。2020年にギャラリー兼自身の制作アトリエ「アトリエみつしま」を立ち上げ。バリアへの新しいアプローチを実践する拠点となることを目指して活動の幅を広げている。近年の主な展覧会に「MOTコレクション 歩く、赴く、移動する 1923→2020 Eye to Eye─見ること」(2024年、東京都現代美術館)など。


ギャラリートークゲスト

吉永朋希 よしなが・ともき

たんぽぽの家アートセンターHANAアートディレクター/副施設長。1987年生まれ、佐賀県出身。奈良県にある福祉施設『たんぽぽの家アートセンターHANA』でアートディレクターとして勤務。障害のあるメンバーの創作活動のサポートや展覧会・プロジェクトの企画を中心に、施設全体のアートディレクションを行う。また、副施設長も兼務し施設運営や人材育成なども行う。その他、関西を拠点に個人としても作家活動を行っている。


キュレーター

奥村一郎 おくむら・いちろう

アメリカへの移民と美術、近代日本の写真、サウンド・アートなど様々な領域での企画・展示や、「なつやすみの美術館」シリーズなどの教育普及活動に携わる。近年担当した主な 展覧会は、「トランスボーダー 和歌山とアメリカをめぐる移民と美術」(2023)、「なつやすみの美術館12 妻木良三 はじまりの風景」(2022)、「ミティラー美術館コレクション展 インド・コスモロジーアートの世界」(2022)、「島村逢紅と日本の近代写真」(2021)、「特集展示 鈴木昭男 音と場の探究」(2018)など。「もぞもぞする 現場4」で展覧会のキュレーションを担当する。


ナビゲーター

もぞもぞさん

「もぞもぞする現場——芸術と障害にかかわるひとたちの、アセンブリー」の市民参加メンバー。”芸術”と”障害”について、問いを共有し共に考える仲間。障害者にとっても、アーティストにとっても、あらゆる人びとにとっても「おもしろい美術館」とは何か?どうしたら、どんなふうに、誰が美術館を変えて行けるのか?を考え、実践している。


会場

アトリエみつしま Sawa-Tadori

全盲の美術家・光島貴之が代表をつとめるアートギャラリー。大徳寺総門にほど近い西陣織の工場跡をリノベーションし、2020年4月にオープン。「Sawa-Tadori」は、「さわってたどる」という言葉から名づけられ、沢のような細い道をたどりながら新しい世界を発見したいという意味が込められている。入口の看板には、点字で「あとりえ みつしま」と書かれている。
https://mtsm.jimdofree.com

未来の美術館構想講座 – 2024年度

本講座は「もぞもぞする現場」というイベントタイトルで、“芸術”と“障害”について、障害者・アーティストをふくむ私たち自身が、「そもそも」のところから考え、話し合う場所として2022年度から始まりました。

今年度は全8回のMeet upを開催し、2つの公立美術館の学芸員の実践報告を聴くとともに、障害のあるなしにかかわらず、あらゆる人びとにとって「おもしろい美術館」とは何かというテーマのもと、4ヶ所の美術館・ギャラリーの協力を得て、手探りで現場での実験(様々な鑑賞方法を考案し、実際にやってみる)を重ねてきました。参加者の意思や主体性を尊重して運営し、鑑賞者コミュニティの育成をめざしています。それは〈未来の美術館〉は、鑑賞者(ユーザー)コミュニティと美術館の職員の間の丁寧な対話のなかから生まれてくると想定しているからです。鑑賞者コミュニティの立場から構想を提案、実践していくのがこの講座の特徴といえます。今年度は活動の場を広げるべく和歌山へ出張し、和歌山県立近代美術館の学芸員をゲストに迎えて、もぞもぞと話し合いました。

プログラムちらし

プログラム名
もぞもぞする現場 3 – 芸術と障害にかかわるひとたちの、アセンブリー
言い出しっぺ
佐藤知久(言葉を見つける人)、小山田徹 (綾なす人 ※お休み中)、今村遼佑 (想う人)、舩戸彩子 (探る人 ※お休み中)、阪本結 (手を伸ばす人)、中川真 (耕す人)、内山幸子 (醸す人)
参加費
無料 ※入館料、各会場までの交通費、昼食代は各自負担
定員
各回20名程度
共催
京都市立芸術大学
制作
一般社団法人HAPS
協力
京都市、art space co-jin、みずのき美術館

「もぞもぞする現場3 – 芸術と障害にかかわるひとたちの、アセンブリー」ダイジェスト 

* 字幕解説付き

※ Google CromeのCaptionSpeaker(字幕の音声読み上げ機能)で、本動画の音声解説をお聞きいただけます。(読み上げ速度は、1.15倍速以上推奨)
映像制作:有佐祐樹
アクセシビリティ相談協力:Social Work / Art Conference(一般社団法人HAPS)

「もぞもぞする現場からのレポート 2024」

発行日
2025年3月28日
発行元
一般社団法人HAPS
執筆
もぞもぞメンバー、内山幸子
撮影
有佐祐樹[p.12, 16, 17]、沢田朔(HAPS)、内山幸子
編集
内山幸子
編集協力
有佐祐樹、吉田守伸
デザイン
有佐祐樹
ドローイング
小山田徹
印刷
株式会社グラフィック
頁数
28頁

メッセージ

「もぞもぞする現場」は、芸術と障害disabilityについて、障害者・アーティストをふくむ私たち自身が、「そもそも」のところから考え、話す場所です(どなたでも参加可能です)。

「それぞれの現場でもぞもぞしてる話を聞きたい」「いろんな人とつながってネットワークを広げたい」と、2022年度にはじまった「もぞもぞ」。2023年度は、「美術館でこんなことができたらいいな」という妄想を自由に広げて、話題は時に「障害」を大きく超えていきました。

3年度目をむかえた今回は、さまざまな美術館で「美術館をおもしろくしたい!」とがんばっている方々をお招きしつつ、実際の展覧会場で「こうだったらいいな」を少しずつ実践させてもらいながら、〈未来の美術館〉についてさらに具体的に考えていきます。 

障害者にとっても、アーティストにとっても、あらゆる人びとにとっても「おもしろい美術館」とは何か? どうしたら、どんなふうに、誰が美術館を変えて行けるのか? 美術館やギャラリーの協力のもと、実験を繰り返しながら、〈未来の美術館〉現実化への道をたどります。

今年度はきわめて現実的に「もぞもぞ」していく予定です。

Meet up ①
京都市京セラ美術館ラーニング・プログラムのお話をきく+館内見学

日時
2024年9月15日(日)14:00~16:00
会場
京都市京セラ美術館 (京都市左京区岡崎円勝寺町124)
講師
藤田龍平(京都市京セラ美術館ラーニング担当、美術家)

講師プロフィール

藤田龍平(ふじた りゅうへい)
京都市京セラ美術館ラーニング担当、美術家

同館リニューアル開館当初よりラーニング担当スタッフとして、ラーニング・ツールの制作やプログラムの企画運営に携わっている。京都市美術館(京都市京セラ美術館)を遊び場のようにして育ち、京都市立銅駝美術工芸高校西洋画科(現・京都市立美術工芸高校)在籍時には放課後にもよく立ち寄っていた。東京藝術大学美術学部先端芸術表現科卒業後は各地でドローイングパフォーマンスや滞在制作を行い、舞踊家や音楽家の舞台美術も担当している。最近の活動では、〝戸外活動のすすめ〟と称して《畑の小屋》《公共美術館》などの作品を発表している。

Meet up ②
横浜美術館教育普及プログラムのお話をきく

日時
2024年10月13日(日) 14:00~16:00
会場
京都市立芸術大学カフェ・コモンズ(京都市下京区下之町57-1 C棟3階)
講師
瀧口桃(横浜美術館教育普及グループ エデュケーター)

講師プロフィール

瀧口桃(たきぐち もも)
横浜美術館教育普及グループ エデュケーター

神奈川県出身。2019年京都市立芸術大学大学院美術研究科構想設計修了。4年間中学校教諭として勤めた後、2023年より現職。横浜美術館「子どものアトリエ」のスタッフとして、さまざまな造形体験を提供するプログラムの企画・運営に携わっている。親子を対象としたワークショップ「”じゆう”に!わくわく紙遊び」(2023年)や、第8回横浜トリエンナーレのファミリープログラム「描こう、つくろう、野草になろう!」(2024 年)などを担当。子どもの居場所、子どもの育ちの場としての美術館のあり方に興味がある。

Meet up ③
「Meet up ①②を受けとめて、みんなで話す

日時
2024年10月26日(土) 14:00~16:00
会場
京都市立芸術大学カフェ・コモンズ

Meet up ④
みずのき美術館の展覧会場で、もぞもぞしてみる

日時
2024年11月4日(月・休)10:00~15:00
会場
みずのき美術館 (亀岡市北町18)
ナビゲーター
阪本結(美術家、「もぞもぞする現場」言い出しっペ)

▶ みずのき美術館での展覧会
HOZUBAGと巡り堂による展覧会 「作業する場がある」(主催:みずのき美術館)
詳細:http://www.mizunoki-museum.org/exhibition/hozubag-megurido/

Meet up ⑤
Meet up ④までを受けとめて、みんなで話す

日時
2024年11月23日(土・祝) 14:00~16:00
会場
京都市立芸術大学カフェ・コモンズ
ゲスト
光島貴之(美術家・鍼灸師、アトリエみつしま代表)

ゲストプロフィール

光島貴之(みつしま たかゆき)
美術家・鍼灸師、アトリエみつしま代表

京都生まれ、在住。10歳頃に失明。鍼灸を生業としながら、ラインテープやカッティングシート、釘、布などを用いたコラージュによって平面や半立体の絵画作品を制作している他、「さわる絵画」や「触覚コラージュ」といった新たな表現手法を探求している。2020年にギャラリー兼自身の制作アトリエ「アトリエみつしま」を立ち上げ。バリアへの新しいアプローチを実践する拠点となることを目指して、活動の幅を広げている。近年の主な展覧会に「MOTコレクション 歩く、赴く、移動する 1923→2020 Eye to Eye─見ること」(2024年、東京都現代美術館)など。

Meet up ⑥
「空っぽのアトリエみつしまで、もぞもぞ話す

日時
2024年12月7日(土) 14:00~16:00
会場
アトリエみつしま(京都市北区紫野下門前町44)
ゲスト
光島貴之

Meet up ⑦
Meet up⑥をふまえて、展覧会場ですこし実践させてもらう #1

日時
2024年12月21日(土) 13:30~16:00
会場
京都市美術館別館 (京都市左京区岡崎最勝寺町13)
ナビゲーター
今村遼佑(美術家、「もぞもぞする現場」言い出しっペ)

▶ 京都市美術館別館での展覧会
2024年度 共生の芸術祭「いま、なにしてる?」(主催:きょうと障害者文化芸術推進機構)
詳細:https://co-jin.jp/exhibition/4801/

Meet up ⑧
「Meet up⑥をふまえて、展覧会場ですこし実践させてもらう #2」

日時
2025年1月18日(土)14:00~16:00
会場
京都市立芸術大学ギャラリー@KCUA(京都市下京区下之町57-1 C棟1階)
ナビゲーター
阪本結(美術家、「もぞもぞする現場」言い出しっペ)

▶ ギャラリー@KCUAでの展覧会(企画:「半透明の美学」と現代の絵画(仮)展実行委員会)
「ダイヤモンドから夢を放つペルセウス」
詳細:https://gallery.kcua.ac.jp/archives/2024/11585/

もぞもぞする現場3・特別編 in 和歌山「奥村一郎さんと、障害者によるアートについてもぞもぞ話す」

日時
2025年1月25日(土)13:00~15:00
会場
本町文化堂 (和歌山市本町3丁目6)
ゲスト
奥村一郎(和歌山県立近代美術館学芸員)
「もぞもぞする現場」
言い出しっぺ
今村遼佑(美術家、art space co-jinスタッフ)、阪本結(美術家、みずのき美術館スタッフ)、中川真(「もぞもぞする現場」ディレクター、本トーク進行役)

ゲスト他プロフィール

奥村一郎(おくむら いちろう)
和歌山県立近代美術館学芸員

戦前アメリカへの移民と美術、近代日本の写真、サウンド・アートなどさまざまな領域での企画・展示や、「なつやすみの美術館」シリーズなどの教育普及活動に携わる。近年担当した主な展覧会は、「トランスボーダー 和歌山とアメリカをめぐる移民と美術」(2023)、「なつやすみの美術館12 妻木良三 はじまりの風景」(2022)、「ミティラー美術館コレクション展 インド・コスモロジーアートの世界」(2022)、「島村逢紅と日本の近代写真」(2021)、「特集展示 鈴木昭男 音と場の探究」(2018)など。
https://www.momaw.jp/

今村遼佑(いまむら りょうすけ)
美術家/art space co-jinスタッフ

2007年京都市立芸術大学大学院美術研究科修士課程彫刻専攻修了。日々過ごすなかで記憶に残ってくるものやふとした気づきを元に、ものごとの確かさと不確かさを探求するような作品を手がける。近年の主な展覧会に「今村遼佑×光島貴之 感覚をめぐるリサーチ・プロジェクト〈感覚の点P〉展 プレイベント」(渋谷公園通りギャラリー、2024年)、「味/処」(神奈川県民ホール、2023年)など。作品制作と並行して、2018年よりart space co-jin(運営:きょうと障害者文化芸術推進機構)に勤務し、障害のある方たちの表現の展覧会企画やアーカイブに関わる。「もぞもぞする現場」に企画チーム/言い出しっぺとして2022年度より参加。
https://imamuraryosuke.info/

阪本結(さかもと ゆい)
美術家/みずのき美術館スタッフ

京都府生まれ。2018年京都市立芸術大学大学院美術研究科絵画専攻油画修了。 自身の生活の周辺に見られる要素をコラージュして継ぎ足しながら風景の絵をつくっている。 大学院在学時にみずのき絵画教室(京都府亀岡市)のデジタルアーカイブ作業に参加、現在はみずのき美術館(京都府亀岡市)にてアーカイブの更新や作家のリサーチ、展覧会企画に携わっている。近年参加した展覧会に「ダイヤモンドから夢を放つペルセウス」(京都市立芸術大学ギャラリー@KCUA、2025 年)など。京都市立芸術大学共創テラス・連携推進課コーディネーター。「もぞもぞする現場」に企画チーム/言い出しっぺとして2022年度より参加。
https://yuisakamoto.wixsite.com/works

中川真(なかがわ しん)
「もぞもぞする現場」ディレクター

アジアの民族音楽、サウンドスケープ、アーツマネジメントについて研究する。著書『平安京 音の宇宙』(平凡社)でサントリー学芸賞、京都音楽賞、小泉文夫音楽賞、現代音楽の活動で京都府文化賞、アーツマネジメントの成果で日本都市計画家協会賞特別賞(共同)を受賞。京都市芸術振興賞、インドネシア政府外務省文化交流表彰。大阪公立大学都市科学・防災研究センター特任教授。チュラロンコ ン大学(タイ)大学院Curatorial Practiceコースの招聘教員も務める。

未来の美術館構想講座 – 2023年度

美術館のあり方が大きな分かれ道にあるとも言われるいま、芸術と障害という問題意識をベースにしながら、美術館の未来について語り合いました。できる限り参加者同志の対話を重視するミート・アップを計8回開催。アーティストや福祉施設職員、地方で芸術文化振興に携わる人などが参加し、対話を通じて理想の美術館とは何かをとめどなく語り合いました。

そのうち第4回では芸術活動と社会の関わりについて学際的研究を行う文化政策の専門家、第6回では展覧会等の企画・実践を通じて地域社会におけるアートセンターの役割を探求するキュレーターを招き、講演も行われました。また、第5回と第7回では「わたしの理想/妄想の美術館」をテーマにアイデアを出し合い、全8ページの冊子にまとめました。

本事業は京都市立芸術大学との共催により同大学の人的・知的なリソースを活用しながら、京都駅前の新キャンパスにできた共有空間「カフェ・コモンズ」で開催されました。

プログラムちらし

プログラム名
もぞもぞする現場 2 – 芸術と障害にかかわるひとたちの、ネットワークづくりのためのアセンブリー
企画チーム
佐藤知久(言葉を見つける人)、小山田徹 (綾なす人)、今村遼佑 (想う人)、舩戸彩子 (探る人)、阪本結 (手を伸ばす人)、中川眞 (耕す人)、内山幸子 (醸す人)
参加費
無料
定員
各回20名程度
共催
京都市立芸術大学
制作
一般社団法人HAPS
協力
京都市、art space co-jin

メッセージ

「もぞもぞする現場」は、芸術と障害 disability について「そもそものところ」から考え、話す場所としてはじまりました。昨年は色々なゲストをお招きして、個々の現場で「もぞもぞしていること」をお聞きしつつ、たくさんの人たちで集まって話しました。話題は時に「障害」を大きく超えてゆきました。2年目の今年は、で、どうする? を考えます。テーマは「未来の美術館」です。

「美術館」って、そもそも何であり、何をする場所なんでしょうか。美術についての研究成果が発表され、それを学ぶ場所? それとも、芸術家や市民が作品や活動を展示して、多くの人と交流し議論する場所? 美術館は誰のためにある? 美術館のあり方が、国際的な議論のなかで「大きな分かれ道」にあるとも言われるいま、芸術と障害という問題意識をベースにしながら、美術館の未来について考えます。

「こんなこともできるかも」と妄想をふくらませましょう。「あんなこともやってるらしいよ」「こんなこともできるよ」という話を、文化政策研究者やアートセンターのキュレーターの方たちと話しながら、ともに語り合いましょう。そして数年後?には美術館がこんなふうに変わったらいいな、と想像しながら、わたしたちが暮らすこの町の「美術館」の未来の姿を、じっくり考えていきましょう。

「もぞもぞする現場2」は、そんなビジョンに向かって、ゆるやかにおしゃべりしつつ進んでいくための場所です。

ミート・アップ ①
「プロジェクトの目標を共有する」

日時
2023年10月13日(金)19:00 – 21:00
会場
京都市立芸術大学カフェ・コモンズ(京都市下京区下之町57-1 C棟3階)
参加者
22名(他、毎回約10名の企画チーム、事業スタッフらが参加。以下同)
内容
今年度は「人材インベストメント事業」から「未来の美術館構想講座」へと事業名称が変わりました。昨年度の活動を通じて、コミュニティの形成とともに、実際に美術館で実験してみようという機運が醸成されてきたからです。企画チームの佐藤知久さん、小山田徹さんより、美術館の機能の変化がその建築設計にも表されるという観点から、八戸市美術館やデンマークの図書館DOKK1などがスライドで紹介されました。後半は参加者の自己紹介で、各自の問題意識などが披瀝されました。

ミート・アップ ②
「昨年度の活動を振り返る」

日時
2023年10月27日(金)19:00 – 21:00
会場
京都市立芸術大学カフェ・コモンズ
参加者
13名
内容
2022年度にHAPSが実施した「公立美術館における障害者等による文化芸術活動を促進させるためのコア人材形成を軸とした基盤づくり事業」5事業の内容がディレクター3名(遠藤水城、奥山理子、中川真)より紹介されました。本事業以外にカンファレンス、リサーチ、パイロット(展覧会)、アーカイビングがあり、それらを知った上で本事業を進めていこうという趣旨です。その後、フリーの討論に移り、美術館は社会に美術を定着させるための重要な場所であると同時に権威的な場所であり、権力との関係性を深く歴史的に持ってきたのではないかという、政治的な視点から美術館を捉え直すこと、あるいはアートを保存するシステムとしての美術館を再検討すべき、などといった意見が交わされました。

ミート・アップ ③
「『東九条マダン』を見に行く」

日時
2023年11月3日(金・祝)11:00 – 15:00
集合場所
元・山王小学校(京都市南区東山王町東九条12-3)
参加者
4名
内容
京都市南区の元山王小学校の校庭に開催された第31回東九条マダンを見学しました。在日コリアンの方々が、コリアン文化だけではなく、この地域に存在する多様な文化を表現し、交流する場として実施され、数千人規模の人々が集まるイベントです。「大プンムルノリ、」「サムルノリ」「マダン劇」の他、“地元”となった京都市立芸術大学の有志メンバーによる「モバイルガムランチーム」も出演しました。真夏のような暑さの中で、文化の交差や融合の現場に立ち会いました。またHAPSが制作協力し、昨年度のゲストやんそるさんが実行委員を務める「東九条空の下写真展」も同所で開催されており、その見学もできました。

ミート・アップ ④
「中村美亜さんと文化政策をめぐっておしゃべりをする」

日時
2023年11月10日(金)19:00 – 21:00
会場
京都市立芸術大学カフェ・コモンズ
参加者
22名
ゲスト
中村美亜(九州大学大学院芸術工学研究院教授)
内容
前半が中村美亜さんによる「『芸術文化の価値』について改めて考える」というレクチャー、後半が質疑応答でした。文化的価値とは何かという点では、永遠のテーマとして手段的価値と本来的価値の議論があります。それを考えるために「あなたにとって芸術文化の価値って何ですか? どうして他の人にもそれを伝えたいと思うのですか?」という問いを中村さんは参加者に投げかけ、それぞれグループで話し合いました。そして文化芸術ができることの重層性を確認しながら、デザインのような解決志向ではなく、それ自体を目的とするアートに内閉するのでもなく、アートがもたらす主体的な体験の場をデザインすることが大切だという議論に至りました。

ゲストプロフィール

中村美亜 (なかむら みあ)
九州大学大学院芸術工学研究院教授

芸術活動が人や社会に変化をもたらすプロセスや仕組みに関する学際的・実践的研究、その知見を生かした文化政策の研究を行っている。多様性と包摂性、ジェンダー⁄ セクシュアリティに関する著作も多い。訳書に『芸術文化の価値とは何か-個人や社会にもたらす変化とその評価』(水曜社、2022)、編著に『文化事業の評価ハンドブック―新たな価値を社会にひらく』(水曜社、2021)、『ソーシャルアートラボ―地域と社会をひらく』(水曜社、2018)、単著に『音楽をひらく―アート・ケア・文化のトリロジー』(水声社、2013)等。日本文化政策学会理事、アートミーツケア学会理事、日本評価学会員。

ミート・アップ ⑤
「『未来の美術館』を構想する」

日時
2023年11月24日(金)19:00 – 21:00
会場
京都市立芸術大学カフェ・コモンズ
参加者
11名
内容
最初に、佐藤知久さんが提示した「市民の対話→社会の変化→政府/制度の変化」の解説図を見ながら、もぞもぞの対話は制度を変えていくための最初の大事なステップであることを共有しました。対話前半は一人ずつ「最近行った美術館の話」を発表し、「どんな美術館がよいか」のヒントを探りました。対話後半は「妄想美術館の書き出しとディスカッション」をしました。その「妄想」のなかには、マッチングシステム(美術館前で待ち合わせて対話型鑑賞する)、見る人にやさしい美術館(休憩できる・ダラダラできる・ひとりになれる場所がある)、障害のある人が美術館で雇用される、夜中の展示室に入れる、など多くの興味深いアイデアが出てきました。

ミート・アップ ⑥
「竹久侑さんから水戸芸術館『アートセンターをひらく』展のお話をきく」

日時
2023年12月8日(金)19:00– 21:00
会場
京都市立芸術大学カフェ・コモンズ
参加者
22名
ゲスト
竹久侑(水戸芸術館現代美術センター 芸術監督)
内容
水戸芸術館で「アートセンターをひらく」という展覧会を2019年から断続的に企画している竹久侑さんのレクチャーを前半に、後半は参加者を交えた対話の時間をもちました。竹久さんは同展の構想にあたって、水戸芸術館の現代美術センターがコレクションの収集や収蔵を目的としない「クンストハレ(Kunsthalle)型の美術館」であり、現代美術展示だけでなく創作や対話の場となってきたことに立ち戻ったこと、創作をテーマにアーティストと来場者が交流したり、作品をきっかけに対話を促すプログラム、さらに2023年の来場者とのコラボを深めた「地域をあそぶ」取り組みなどが紹介されました。この会には、北九州市から学芸員を志望する高校生も参加。地域でのアートセンターのあり方について課題や理想を述べる姿に、参加していた皆がエンパワーされました。

ゲストプロフィール

竹久侑 (たけひさ ゆう)
水戸芸術館現代美術センター 芸術監督

展覧会およびプロジェクトの企画と実践を通して、地域社会におけるアートセンターの役割を探求し、芸術と社会の交わる領域を耕すことを目指す。地域社会におけるアートセンターの役割を改めて探求する「アートセンターをひらく」(2019-20)と「アートセンターをひらく2023-地域をあそぶ」(2023)を企画。他、主な展覧会に、「3.11 とアーティスト:10 年目の想像」(2021)、デイヴィッド・シュリグリー「ルーズ・ユア・マインド-ようこそダークなせかいへ」(2017-18)、「石川直樹 この星の光の地図を写す」(2016-17)、「田中功起 共にいることの可能性、その試み」(2016)、「3.11 とアーティスト:進行形の記録」(2012)等。

ミート・アップ ⑦ 「『未来の美術館』を構想する」

日時
2023年12月22日(金)19:00 – 21:00
会場
京都市立芸術大学 C棟3階 カフェ・コモンズ
参加者
12名
内容
前々回のミート・アップ⑤で、未来の美術館を構想し、参加の皆さんには小さなカードにアイデアを書き込んでいただきました。その1回でアイデア出しは終了する予定だったのですが、非常に興味深い提案が多く見つかり、また前々回に来なかった人もいることから、もう一度「つづき」としてさらなるアイデア出しを行いました。最終回となるミート・アップ⑧では、それを元に来年度に向けての相談をしようということになりました。

ミート・アップ ⑧ 「次年度に向けて話し合う」

日時
2024年1月12日(金)19:00 – 21:00
会場
京都市立芸術大学 C棟3階 カフェ・コモンズ
参加者
12名
内容
ミート・アップ⑤と⑦で書かれたたくさんのアイデアカードが、佐藤知久さんによって分類され、大きな紙の上に美しく星座constellationのように配置されました。これを読み上げたのち、佐藤さんから「ZINEのような冊子にしたい」という提案があり、それに賛成(その後、3月に完成しました)。これを来年度の活動の出発点のための重要な道標として使うこととなりました。来年度は、「話し合いもいいけれど、思い切って公立美術館にて小さな試みを実験的にやってみてはどうか」という意見も出されました。
撮影: 一般社団法人 HAPS

人材インベストメント – 2022年度

美術館にとって外部の多様な人材との関係性はとても重要です。本活動はそのような人々の緩やかなネットワークを作ることを目的にしています。5つの対話プログラムでは、「ミミズのように『もぞもぞ』と豊かな土壌を創る」をモットーに、美術館とは何だろう、障害とは何だろうといったことを、10名の講師(各回2名)と5名の対話者(各回1名)と参加者で、とめどなく語り合いました。

プログラムちらし

プログラム名
もぞもぞする現場 – 芸術と障害にかかわるひとたちの、ネットワークづくりのためのアセンブリー
企画チーム
佐藤知久(言葉を見つける人)、小山田徹(綾なす人)、今村遼佑(想う人)、舩戸彩子(探る人)、阪本結(手を伸ばす人)、中川真(耕す人)、奥山理子(逡巡する人)、内山幸子(醸す人)、野添貴恵(潜る人)
参加費
無料
定員
各回20名
共催
京都市立芸術大学
協力
京都市、art space co-jin

メッセージ

芸術と障害 disability について、「そもそものところ」から考えてみる場をつくります。ひとりひとり、それぞれの現場で、わかってきたことを持ちよって、それぞれのちがいを知りながら、数年かけて、知識と技と行動力をふかめていきましょう。今年はその一年目です。

「障害」ということばで囲い込んできた空間を、解き放ってみます。するとどんな風景が立ち現れてくるでしょうか。そこから照り返されるわたしたちの「日常」は、どんな匂い、肌触りだったでしょうか。この境界面で仕事をしている人たちのことばに耳を傾けてみましょう。つくること、生活すること。ケアすること、ケアされること。発表すること、評価されること…

わたしたちは何を共有していて、何が足りないのか。この世界でわたしたちがより善く生きるために、個々の現場でもぞもぞしている感覚を持ちよりつつ、ゆるゆるとした対話を続けます。芸術 artsの可能性を信じながら。みなさんのご参加を、心からお待ちしています。

「研究の現場から」

日時
2022年11月5日(土)13:00-17:00(トーク2時間+ゆるゆる対話2時間)
講師
長津結一郎(アーツマネジメント・文化政策学研究者/九州大学大学院芸術工学研究院准教授)
服部正(美術史・芸術学/甲南大学教授)
対話
上田假奈代(詩人/NPO法人こえとことばとこころの部屋(ココルーム)代表理事)
会場
京都市地域・多文化交流ネットワークセンター(京都市南区東九条東岩本町31)

「アートの現場から」

日時
2022年11月26日(土)13:00-17:00(トーク2時間+ゆるゆる対話2時間)
講師
飯山由貴(アーティスト)
阪本結(アーティスト)
対話
風間勇助(刑務所と芸術・アーツマネジメント研究者/龍谷大学犯罪学研究センター嘱託研究員)
会場
アトリエみつしま(京都市北区紫野下門前町44)

「障害とアートの現場から」

日時
2022年12月10日(土)13:00-17:00(トーク2時間+ゆるゆる対話2時間)
講師
今村遼佑(アーティスト/art space co-jinスタッフ)
舩戸彩子(アーティスト/art space co-jinスタッフ)
竹内聡(クリエイティブサポートレッツスタッフ)
対話
久保田テツ(映像作家/大阪音楽大学准教授)
会場
Social Kitchen(京都市上京区相国寺門前町699)

「草の根の現場から」

日時
2022年12月17日(土)13:00-17:00(トーク2時間+ゆるゆる対話2時間)
講師
宮城潤(「アート×社会教育」実践者/若狭公民館館長)
やんそる(東九条マダン・Books ×Coffee Sol.)
対話
佐藤知久(文化人類学者/京都市立芸術大学芸術資源研究センター教授)
会場
バザールカフェ(京都市上京区岡松町258)

「そもそも美術館について」

日時
2023年1月14日(土)13:00-17:00(トーク2時間+ゆるゆる対話2時間)
講師
藤吉祐子(美術館教育/国立国際美術館主任研究員)
松山沙樹(美術館教育/京都国立近代美術館研究員)
対話
小山田徹(美術家/京都市立芸術大学教授)
会場
京都国立近代美術館(京都市左京区岡崎円勝寺町26-1)